暖かさが日に日に増していく庭で、開ききった福寿草の黄色をニコンD70で撮る。
パワーブックG4に取り込み、ファイアーワークスのカラー調整で自動レベル補正をかけてみる。
深緑色の葉が神秘的な青みを帯び、花びらの黄色が海の底から這い上がったように浮かび上がる。
瞬間的に「praise」(プレイズ)を思い出す。
「プレイズ」のCDジャケットは確かこんな色調のヴィジュアルだった、という記憶があったからだ。
プレイズは、1992年にデビューアルバムを出したきり音沙汰がない英国のバンドだ。
ヴォーカルのミリアム・ストックレイはその後もご活躍らしいが、後の二人はよく知らない。
そんなマイナーなグループのデビューアルバムを購入し、しかも14年も経った今、福寿草の写真を見て思い出すのも、おかしさが自分にしか判らないおかしな話だ。
14年程前なら、ソニーのディスクマンを車に置いて、辛うじてCDを聴いていた。ディスクマンが壊れたのをきっかけに、というよりも70年代後半から80年代前半のいい音が目白押しの頃に比べて、世の中の音楽がだんだんつまらなく思えたのをきっかけに、あまりCDを買わなくなったし、聴かなくなった。
だから「プレイズ」のCDもどんな曲が入っていたのかよくは覚えていない。ミリアム・ストックレイの声を今聴いても、それがプレイズのヴォーカルとは絶対結びつかない。
決してプレイズがつまらない音だったというわけではなく、結構いい音だった記憶はある。
忘れていた昔のバンドを、その音でなくCDジャケットのイメージで思い出す、というのもなんだが、何故か印象に残っているヴィジュアルは、CDジャケットに限らずある。
さて、この福寿草の写真と「プレイズ」のCDジャケットとが自分の中でどれ程の共通イメージを持たせていたのか、確認してみた。
近いと言えば近い、が‥‥
共通していたのは、「花」だった、そして「黄色」だった。
iPodに入れて14年ぶりにプレイズを聴いた。
これを朝の散歩の折りに持って歩かない手はないと思った。